2006年8月内モンゴル砂漠化調査報告


 8月23日〜27日にかけて、中国内モンゴル自治区において、砂漠化やその影響に関する調査およびデータの収集を行いました。
今回の作業は、内モンゴル自治区武川県および四子王旗に設置してある自動気象観測装置のデータ回収と、 土壌水分量計を新たに設置することです。気候ゼミからは境田先生、谷孝さん(M2)、加藤(M1)の3名が参加しました。
 さらに、フフホト市で開催されたモンゴル高原の環境に関する国際シンポジウムで、日本の黄砂観測日数とその発生源のひとつである モンゴル高原の気圧配置の特徴についての研究を発表しました。



map  内モンゴル自治区は中国北部に位置し、北をモンゴル国と接しています。 東西約2400km、南北1700kmにわたり、内陸である西側ほど降水量が少ない傾向があります。 首府がおかれている呼和浩特(フフホト)の年平均気温は6.7℃、年降水量は397.9mmで、 ケッペンの気候区分ではステップ気候に分類されます。
 気候ゼミではフフホトよりそれぞれ約40km、80km北方に位置する武川県および四子王旗に、 自動気象観測装置を設置して観測をしています。現地は砂あらしの重要な発生源のひとつであり、 砂あらしの発生時の気象条件や進行しつつあると言われる砂漠化をとらえることが目的です。 また、植生の繁茂に関わる気候要素の解明を目指しています。


 内モンゴルまでは仙台空港から北京空港乗り換えでフフホト空港まで、およそ半日の道のりです。
 右の写真は武川県の農村風景です。
農民や牧民は主にトウモロコシやジャガイモを栽培したり、ヒツジやヤギ、ウシなどの家畜を飼って生活しています。
 大豆舗郷という村の役場に観測のお世話になっており、定期的に気象データを保存してもらっています。 内モンゴルに到着した翌朝、さっそくここを訪問しました。
    busen
    ECH2O-1  今回、新たに土壌水分量・地温計(ECH2O)を設置するため、郷役場の敷地に深さ30cm程度の穴を掘ります。 写真奥に見える「中日合作項目自動気象観測站」という看板は、以前から設置してある気象観測装置に 現地の方がつけてくださったものです。
 ちなみに、夏季は気温が30℃を越えることもめずらしくありませんが、日本の夏と比べると湿度が低いため、 それほど不快な暑さではありません。
ECH2O-2         ECH2O-3
 地中4段階の深さにセンサーをさして、観測を開始します。 うまくいけば、植生の生育開始期間にあたる春の土壌水分量、地温の変化をとらえることが期待できます。 掘り出すのに困らないように、埋める前に位置をメモするのを忘れずに...

 こちらは四子王旗に設置している気象観測装置(Vantage Pro)です。四子王は武川よりさらに北にあり、 大草原や砂漠といった雄大な景色が広がる地域です。
 ここは真冬の最低気温が-30℃を下回る日もある一方で、夏の最高気温は25℃を越える日もあり、 雨も年間数100mm程度しか降らないような環境にあります。
    vantage_pro

 先に現地入りしていたグループはガリー侵食の測量調査を行いました。
地形調査1         地形調査2
 
シンポジウム1      25日にはフフホト市内の内蒙古師範大学で開催された「モンゴル高原およびその周辺地域における資源環境と 持続可能な発展に関する国際シンポジウム」(Natural resources and sustainable development in surrounding regions of the Mongolian Plateau)に参加しました。
 "Recent changes on Asian dust days in Japan and their synoptic characteristics."というタイトルで、 M1の加藤が発表をしました。会場は中国人やモンゴル人の研究者がほとんどだったため、暖かい歓迎を受けました。 砂あらしの被害に直面する人たちにとって、風下の日本での被害について関心があったようです。
 リモートセンシングやGISを利用した技術的な研究から、民族の生活様式の変化・環境利用といった実証的な研究まで、 モンゴル高原について幅広い視点から研究が盛んなことがわかりました。
    シンポジウム2
reception      シンポジウム終了後に行われたレセプションの様子。 中国では白酒(パイチュウ)と呼ばれる強い酒で乾杯するのが習慣のようです。 写真のようにひとりひとりの席に回ってきて、お酒を注いでくれます。
 また、モンゴルの伝統衣装を着た楽隊が演奏し、素敵な歌を披露してくれました。 モンゴル民族は歌が大好きです。
 白酒は少しきついのですが、酔ってくると歌って騒いでとても楽しい宴会でした。

 <おまけ〜内モンゴルの食べ物〜>
中華料理         牛肉ラーメン
 現地の食べ物は基本的に中華料理が中心で、どれもおいしいものばかりです。 また、ヒツジの肉もよく出されます。
 左写真手前の料理はフフホトの店で食べた「紅焼牛柳(ホンシャオニューロー)」で、チンジャオロースーにちかい、 とてもおいしいものでした。右写真は街中の食堂で食べた牛肉ラーメン(4元=約60円!!)。 日本のラーメンに比べ味気ないスープですが、見た目よりあっさりしていてかなりイケます。



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