2008年 内モンゴル砂漠化調査

2008年2月25日〜3月13日

文責:咏梅

 2008年2月25日から3月13日にかけて、「内蒙古資源環境及び持続可能な発展 日中シンポジウム」の参加と、 資料収集のため、内モンゴルへ行ってきました。


【内蒙古資源環境及び持続可能な発展 日中シンポジウム】

 今回のシンポジウムは境田先生をはじめとして、平成17年度から19年度にかけて実施された 「中国内陸地域の砂漠化(荒漠化)に関する地理学的研究」の研究成果報告として、3月2日〜3日に内蒙古の省都フフホト市で開催されました。
 会議の主催機関は、東北大学環境科学研究科・中国内蒙古大学蒙古学研究センター・中国内蒙古師範大学地理科学学院でした。 主催機関のほか、内モンゴル農業大学・内蒙古民族高等専攻学院・内蒙古気象局・内蒙古草原勘察院・内蒙古財経学院・内蒙古社会科学院などの先生方、 研究員、大学院生の計70名余が参加しました。

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 シンポジウムは発表時間45分、質疑応答15分(通訳時間を含め)で、18の発表がありました。 内容は内蒙古及びモンゴル高原の砂嵐と砂漠化問題を巡る自然環境と社会環境に関するものでした。 植生・土壌・水文・地形・気候など自然科学的な側面、過放牧・過開墾問題・生態移民・退耕還林などの政策及び社会的な側面からの研究がありました。 また、リモートセンシング・GISなどの解析手法を用いた研究から、実地調査による実証的研究もあり、研究手法も様々でした。

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 発表の最後に境田教授が今回発表された各研究の位置づけを行い、発表全体のまとめを行いました。 砂漠化の問題には気候変動の要因と人為的な要因が相互に関係し合っており、それぞれの関係性を明らかにする必要がある。 また、研究の分野としても自然科学だけでなく、人文地理学や社会学の分野の研究成果も重要であり、 今後各分野の知識を共有し、研究を進めていく必要がある。
 日中両国研究者達のお互いの研究に対する理解が深まり、活発な議論ができました。



【研究資料収集】

 フフホトでは研究資料も収集して来ました。内モンゴル統計局では農業統計を、 内モンゴルリモートセンシング&GIS研究センターでは衛星画像を入手しました。





≪内蒙古自治区≫

  内蒙古の環境

 内蒙古自治区は中華人民共和国の北方にあり、モンゴル族が集中居住している自治区である。 面積は約118万km2、人口は約2384万人であり、人口に占めるモンゴル族の割合は約20%である。 主な産業は農業・畜産業で、林業・観光業などもある。希土類・乳製品・カシミヤの生産量は中国で第1位である。 内モンゴル自治区は『東部は森林、西部は鋼鉄、南部は農業、北部は牧畜、全域で鉱産』と言われてきた。 しかし現在は砂漠化や資源の枯渇などの問題が現れてきている。
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 内モンゴル草原は、ユーラシア大陸草原区、アジア中部亜区の重要な構成要素である。 中国における半乾燥地域から半湿潤地域にかけての自然草地資源として、中国北部の重要な牧畜生産基地となっている。 しかし、近年温暖化と人為的な影響などにより草地退行が進行し、経済の持続可能な発展を制約し、牧民の生活に貧困をもたらしている。 また、北京・天津のみならず日本を含む周辺地域における砂塵暴・揚砂の発生源となり、中国北方の重大な環境問題になっていると指摘されている。



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